5Gでわたしたちの生活はどう変わるのだろう?

公式コラム

このサイトを読んでいる方は、きっとスマートフォンを持っていることでしょう。日常にはすっかり欠かせない存在となったスマホ。SNSに動画サイト、漫画や本を読んだり、映画をダウンロードして電車で見たりと、日々の生活を楽しく彩ってくれます。そんな中、最近よく目にする言葉があります。それは「5G」。どうやらとても速い通信が出来る、ということは分かっていても、詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。

5th Generation

5Gとは、5th Generationの略で、日本語では「第5世代移動通信システム」と言う通信の規格です。ということは、一番最初は第1世代なの?と思われた方、大正解です!

日本では1979年に日本電信電話公社(現在ののNTT)が自動車電話として開始したサービスが始まりです。古い映画で、いかにも大物っぽいスーツの男性が車の後部座席に据え付けの電話で指示を出しているシーンを見たことがありませんか。また、1985年には小型軽量化が進み、自動車から持ち出しても使用できる「ショルダーホン」が発売されました。その重さは、なんと約3キロ!平野ノラさんが肩に掛けて電話している、あれです。

4Gから進化

4Gから5Gへの進化​
通信速度通信速度が上がれば、より多くの情報を送ることが出来る
伝送遅延情報をやり取りする際のズレが少なくなる
同時接続数より多くの機器を接続することができる

さて、時代は40年が経過して2020年、5Gに話を戻しましょう。5Gが4Gから進化した点は、「通信速度」「伝送遅延」「同時接続数」の向上です。何に活用できるのかを、未来の技術として「病院での遠隔手術」に例えてみましょう。医者が手術室で患者さんの横に立って執刀していたのが、モニター越しでその場にいない患者さんの遠隔手術ができるようになる、という技術です。

通信速度が向上して、多くの情報がやり取りできるようになれば、手術中の動画や診断データが鮮明かつ大量に扱えるようになります。細かい変化を見逃さず、手元まではっきり見えるようになるでしょう。

また、伝送遅延が減れば、遠隔操作のズレが減り、より正確なメスさばきができるでしょう。いくら綺麗な画像で見えていても、手元の操作とズレがあっては正確な遠隔手術はできません。

そして、同時接続できる機器が増えれば、心拍数や血圧などの多くの機器からの情報を把握しながら適切な手術ができます。電子制御やデジタルデバイスの活用により、人間がすべてマニュアルで執刀するよりはるかに複雑な処置ができるようになるでしょう。

応用が期待される分野

このように、ただのすごい通信技術にとどまらず、世界の様々な技術が一気に進化する可能性を秘めているのです。また、海外の専門医による診断を受けられるようになったり、AIがデータベースを検索することで、今までのアナログの診断データでは見つけるのが難しかった僅かな変化から病気を予測したりできるようになるかも知れません。もちろん医療に限ったことではなく、あらゆる領域に応用することが可能です。

自動運転技術

カメラやGPS、センサーで取得した膨大なデータを遅延無しに処理し、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作を行い車を制御できます。また、車同士の位置情報や動作をデータ化し、事故や渋滞につながらないように効率的に動かせます。これらが達成できると、完全自動運転で人間が運転しなくても目的地に安全に辿り着けることも可能になり、個人の移動から物の輸送まで、今までとは違う交通・物流インフラができる可能性を秘めています。

AIで最適化された社会

人々の移動や消費行動などの行為は一つ一つでは小さい情報ですが、たくさん集めると多くのことに活用できます。これらの集められた情報はビッグデータと呼ばれますが、5Gにより多くの情報が遅延なしに扱えるようになると、皆さんが生活する社会が最適化されるでしょう。

例えば、AI技術との組合わせです。AIとはArtificial Intelligenceの略で、日本語ではそのまま人工知能と訳されます。まだAI技術は発展途上であり正確な定義は定まっていないのですが、要は今まで人間が脳で考えて判断していたことをデジタルで行えるようにする技術です。

5Gによりさらにビッグデータを集めて、AIがその情報を処理することで、先を予測したサービスも可能になります。AIという脳がビッグデータという情報本を、速く同時に何冊も読めることで問題の解決法が予測できる、というイメージです。

人や車の移動情報と救急車や病院の位置情報を組み合わせれば、急病患者を最適なルートで執刀可能な医者がいる病院に搬送できるでしょう。また、アクセス解析により自分が欲しい商品が高いマッチ率で探せて、認証もAIで簡単になるでしょう。生体認証などの誤認率は低いが情報量が多く必要な技術も、5Gのおかげで安全なお買い物を手軽に楽しめるようになるでしょう。

創薬・製薬

薬を飲んで効くのも、ご飯を食べて元気が出るのも、運動をして疲れるのも、すべて体の中で起こる化学反応の結果です。化学反応とは分子と呼ばれる小さいパーツ同士の複雑なパズルのようなものです。

新しい薬を生み出すことを創薬といいますが、何もあてずっぽうに試してみるわけではありません。この分子のパズルが上手くいきそうかどうかを、あらかじめスーパーコンピューターで理論計算して目星を付けてから実際に試験へと移っていきます。2020年6月現在、世界1位の計算能力を持つコンピューターは日本の富岳ですが、新しい薬を創るのに大いに役立っています。5Gにより膨大な理論データと実験データを組み合わせてシミュレーションすることで、創薬のレベルは飛躍的に向上するでしょう。

また、すでにある薬にも飲み合わせや持病との相性があるように、患者の状況に合った投薬をする必要があります。5Gで患者ごとのデータと薬のデータをもとに最適化された投薬プランや治療が出来るようになるでしょう。自宅のデバイスで体をスキャンしたら、最適な薬とリハビリプランが送られて来る、という夢のような時代が来るかもしれません。

高周波数・アンテナ技術

では、5Gはなぜそんな凄いことが出来るのでしょうか。その秘密は、「高周波数帯」と「アンテナ技術」にあります。周波数とは、1秒間に繰り返す波の数です。たくさん波の数がある(=高周波数)と送れる情報量も多くなるのですが、直進性も上がる特性があります。つまり、たくさん情報を送れるのですが、まっすぐしか進めず、障害物があるとうまく情報を伝えることができなくなってしまいます。

そこで、今までより大量のアンテナ素子(データをやり取りする基地のようなもの)を使用して、さらにビームフォーミングという技術で電波を細かく絞りまっすぐ飛ばして、より遠くまで届く技術を組み合わせています。まるで情報の水鉄砲ですね。

5Gがいかに凄く、発展性のある技術であるか伝わったでしょうか。今後はスマホを使う時には、多くの技術力が集結してあなたの生活を楽しくしてくれていることを思い出してみて下さいね。また、そんな大切なスマホを、ぜひナノナインのコーティングで保護してあげて下さい。それでは楽しいスマホライフを!

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