ガラスの化学③ 高性能ガラス製品

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紅葉も進み、すっかり寒さが身にしみる時期になってきました。今年はCOVID-19の中ですので、お部屋の温度と湿度をしっかりと最適に保ちながら、健康で楽しくおうち時間を楽しまれて下さい。

さて、ブログで過去2回に渡り、ガラスやケイ素の様々な活用シーンをご紹介してきました。

ガラスの作り方シリーズ最後の話題に、ガラスを使った高性能な製品についてご紹介したいと思います。少し難しい話もありますが、分かりやすく例えながら解説していきますね。

身の回りの物にこんな工夫やテクノロジーが詰め込まれていたとは!と驚く事必至ですよ。ガラスという素材の無限の可能性を見てみましょう。

FRP(繊維強化プラスチック)
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FRP、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。FRP(Fiber Reinforced Plastics)とは「繊維で強化したプラスチック」という意味で、日本語でもそのままFRP(エフアールピー)もしくは繊維強化プラスチックと呼ばれる素材です。この補強のために配合されている繊維に炭素繊維やガラス繊維などが用いられます。

「ガラスなのに繊維?繊維っていうと、服とか布じゃないの?」と思われるかもしれません。繊維とは細くて長い素材自体の事を指すので、ガラスも細長い糸のように延ばせば、ガラス繊維というわけです。これは単体でも「グラスウール=ガラスの綿」として断熱材や吸音材として利用されています。

さて、突然ですが皆さんは「強い材料の定義とは?」と聞かれたらどう答えますか?様々な説明が考えられますが、機械工学や材料力学でのキーワードは引張応力いんちょうおうりょく圧縮応力あっしゅくおうりょくです。

要するに引っ張ったり、押し潰したりに強い材料ということなのですが、これらは同じように思えて全く違う特性です。応力という材料力学用語が出てきて戸惑うかもしれませんが、難しく考える必要はありません。「そこにかかっている力」くらいにイメージできていれば大丈夫!

糸と新品の消しゴムで例えてみましょう。糸を引きちぎるのは大変ですが、消しゴムも両端を持って引きちぎるのは大変そうです。では押し潰した場合はどうでしょうか。消しゴムは押しつぶすのも大変ですが、糸は力を入れずともクシャクシャに出来てしまいます。つまり、糸は消しゴムと違い、引張には強いが圧縮には弱い素材、と言えます。

では糸を消しゴムで固めたらどうなるでしょうか。圧縮には消しゴムと同様の強さですが、引っ張りにはもの凄く強くなりそうです。これと同じことをしているのがFRPです。

FPRの良い点は多くあります。

    • 樹脂なので金属などと比べて格段に軽くて安い
    • 錆びや腐敗などの腐食がない
    • ガラスと樹脂なので水に強い
    • 補修しやすい

逆に強い衝撃や熱に弱いという特性もありますが、これらを補って余りある魅力的な素材というわけです。身の回りでは、イス、バスタブ、釣り竿、小型船の船体、パイプを始め、様々な樹脂製品の強度向上に広く利用されています。

強化ガラス:積層式

映画などでよく見る、防弾ガラス仕様の車。はたまた一面ガラス張りのオフィスビルに用いられるガラス。これらは一体どういったガラスなのでしょうか。

強化ガラスには、ガラスを他の素材と層状に重ねて強くする方法と、ガラス自体を物理的及び化学的に強化する方法があります。

まずは、層状に重ねる方式。これはガラスと、その他の耐衝撃性や硬度のある樹脂素材を層状に重ねることでガラスにはない性質を付与する方法です。防弾ガラスは現在はこの方式で作られています。

樹脂素材が使われており、屈折率がガラスと異なるために物が歪んで見えることがあります。また、樹脂層が紫外線や水分で劣化し、層間の付着が悪くなることで機能性が劣化したり、白濁して視認性が悪くなったりすることがあり、一般的にガラス単体より寿命が大きく劣ります。

これはスマホでも同じ事が言え、樹脂製の保護フィルムだと貼ってすぐは傷や劣化も無いため見た目が綺麗です。しかし、毎日触っていると気付きにくいのですが、徐々に視認性や操作性が悪くなっていることがあります。nanonine.comがガラスコーティングをお勧めする理由でもありますが、画面が割れにくくなるだけではない、快適性の上でも非常に大きなメリットがあるのです。

強化ガラス:物理強化

一方、ガラス自体を強化する方法もあります。まずは物理強化についてご紹介します。ガラスは、まずドロドロに溶かした後に成形、冷却して形を固定することで作られます。物理強化ガラスの場合は、そのドロドロのガラスが固まる際に、表面を風、液体や固体接触、水ミスト等の方法で一気に冷却します。

すると、表面は縮みながら一気に固まるため、圧縮方向の力(=圧縮応力)が残ったまま表層だけ固まります。一方、内部は急冷されていないため表層と違い、すぐに固まることが出来ません。それにより、表層の縮む力と逆の力(=引張応力)が発生して、壊れないようにバランスを取ります。この状態で固まっていくことにより、表面には圧縮応力、内部には引張応力という力が残されたまま固まります。

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図1.物理強化ガラスのイメージ

つまり物理強化ガラスとは、そのままゆっくり冷やして作ったガラスと違い、ガラス内部に応力が残った状態で固まる。ということです。そもそもガラスに力が加わって割れる、ということは、掛かる応力が素材の耐久限度を超えたということです。素材内に応力が残っていることでそれがサポートとなり、より高い力に耐えられるようになっている訳です。

物理強化ガラスは、車や窓ガラスから、お皿やコップといった身の回りのものまで、広く利用されています。透明に見えるガラスが、見えない力で壊れないように守ってくれている。そう考えるとなんだか愛着も湧いてきますね。

強化ガラス:化学強化

ガラス自体を強化するもう一つの方法には、化学強化というものがあります。ガラスの原料にはNa(ナトリウム)という元素が含まれるのですが、ガラスをK(カリウム)イオンを含む液に浸漬することでNaイオンをKイオンに置き換えて構造を強くする方法です。

KイオンはNaイオンと比較して大きさ(イオン半径)が大きいため、より密な構造(材料力学的に言えば圧縮応力が残存する)となり強度が増しますが、イオン交換という仕組み上、深くまでは浸透できずにごく表層での交換に留まります。

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図2.化学強化ガラスのイメージ(左:浸漬開始時 右:浸漬後)

ガラスとはSi-O-Siという構造が網の目のように繰り返されて出来ており、その網目の中にNaがあります。このNaを細かい網の目の布に刺さっている爪楊枝、としましょう。

この爪楊枝を、より太いもの(=K)に交換していくと、網目はもっとギュッと詰まったものとなり、圧縮された強固なものになるでしょう。しかし、網目の中深くにある爪楊枝は取り出せないので、表面の爪楊枝のみ交換できる、という訳です。

また、物理強化も化学強化も、ともに素材内部に応力を残存させることで強度を向上させています。他方、物理強化は残存応力が素材内部まで進行しますが、化学強化ガラスはごく表層での残存に留まるので、深さ方向での違いがあり、素材の使用目的に応じて使い分けされます。

化学強化ガラスが電子デバイスのガラス面に使用されることが多いのは、表層に限るが非常に硬く強く出来るというこの特性によるものです。

nanonine.comの願い

ガラスの可能性

今回はガラスを用いた高性能な製品について紹介させて頂きました。今までのブログ記事でガラスって一体何なの?という事から、ケイ素やガラスの実用製品のお話まで解説して来ました。全部読んで下さったあなたはもうガラス博士かも!?

わたしたち、nanonine.comはガラスコーティングを通じて、皆さんの生活をより快適で素敵なものにしていきたいと願っています。また、素晴らしい製品・サービスとは、良い素材と施工を、目的に合った形で提供できて初めて生きるものであると考えています。

一度皆さんのスマホやタブレットを良く見てみて下さい。細かい傷が付いているかも知れませんが、そこには色んな場所へ行った、たくさんの思い出が詰まっていると思います。是非、ナノナインのガラスコーティングで保護してあげて、これからもっと思い出を作っていきましょう!

それでは、ご自身とスマホの体調に気を付けて、素敵なスマホライフを!

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